もどり場

可燃、不可燃。

燃えている人がいる。

仕事に。
夢に。
誰かに。
何かを変えることに。

朝から晩まで動いて、
寝る時間まで惜しんで、

「今しかない」と言う。

眩しい。

だから、少し困る。

その光を見ていると、
燃えていない自分が、

何か足りない人間のように
見えてくるからだ。

もっと本気になれ。

夢を持て。

挑戦しろ。

人生は一度きりだ。

世の中は、
ずいぶん人を燃やしたがる。

燃えている人は分かりやすい。

頑張っているように見える。
前に進んでいるように見える。

何より、

心を打って、響いてくる。

でも、

人間はみな、
可燃性ではないのだろう。

火をつければ走り出す人もいれば、

火を近づけるほど、
壊れてしまう人もいる。

そもそも、

燃えるものだけに
価値があるわけではない。

鉄は燃えなくても、橋になる。

石は燃えなくても、家を支える。

水なんて、

燃えないどころか、
火を消してしまう。

それでも、

なくなれば困る。

人間も、
たぶん似たようなものだ。

静かに続ける人がいる。

止まっている人がいる。

何をしたいのか、
まだ分からない人もいる。

それを、

燃えていないというだけで、

不燃物のように
脇へ退ける必要はない。

燃えたいなら、
燃えればいい。

燃えて。

燃えて。

燃え尽きてもいいし。

燃えられず、
ただそこに残っていてもいい。

灰になったから、
終わりとも限らない。

残っているから、
何もしていないとも限らない。

人の一生を、

炎の大きさだけで測るには、
少し無理がある。

燃えた時間が長かった人が、
偉いわけでもない。

最後まで燃えなかった人が、
間違っていたわけでもない。

可燃か。

不可燃か。

そんな分別を、

人間にまで持ち込まなくていい。

人間はみな、
不可燃性ではないのだろう。

だから、燃えられない日くらい、
そのまま置いておけばいい。

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